スペックから、ライフスタイルへ。住まいに求められているのは、暮らしの「余白」でした。

地価の高騰、建築費の上昇、そして専有面積の縮小。
現在のマンション市場は、供給者にとっても居住者にとっても、これまでにない転換点に立たされています。建築自体のスペックや「駅近」などの条件だけでは、自分らしい暮らしを描きにくくなっているのが現状です。
そんな中、大成有楽不動産による新しい暮らしかた提案プロジェクト「yohack life(ヨハクライフ)」が、デベロッパーの常識を打ち破る挑戦としてスタートしました。
生活者の声から導き出された「余白(ヨハク)」というコンセプトをもとに、「空間」や「時間」にゆとりをもたらすことで、「ココロ」にもゆとりを生み出すことを目指していきます。RoomClip住文化研究所との協働によって生まれた、新しい住まいづくりとは?
参加者プロフィール

大成有楽不動産株式会社
マンション事業部事業室(第一) 篠 大智
yohack lifeプロジェクト責任者。住宅事業の主に分譲マンションの商品企画・販売・引渡等の事業推進全般を担う。

大成有楽不動産株式会社
建設部企画設計室 須内 愛里
yohack life商品企画担当。「住まわれる方を笑顔にする」が仕事の目標。コンセプトから、具体的な間取り設計まで担う。
既存の家づくりからの脱却。なぜ今「余白(ヨハク)」なのか
現在のマンション市場において、これまでの「効率重視」の開発スタイルは限界を迎えつつあります。同じ間取りを積み上げる画一的なマンションは、多様化する現代のライフスタイルとの間に大きなズレを生じさせているのです。

—— 「yohack life」発足の背景について教えてください。
大成有楽不動産・篠(以下、篠):「プロジェクトの始まりとしては、社内に『今後の住宅事業を良くしていくには?』という大きなテーマがありました。そこで、具体的に何をしていくか考えるためのチームが発足したんです。調べていくと、いまの日本に暮らす人々の多くは、住まいにさまざまなストレスや課題を感じている。住宅事業においては工事費の高騰もあり、専有面積も縮小傾向にある中で、この問題をどうやって解決していくのか、というところを考えていくことになりました。」
大成有楽不動産・須内(以下、須内):「弊社では50年以上、分譲マンション事業に注力しているのですが、工事費が高騰するにつれて、やはり住宅のつくりがシンプルになってくるんですね。本当にそれでいいのかという疑問と、小さくても『付加価値』をつけていきたいという意志が、私たちの想いとしてありました。」
RoomClip住文化研究所・水上(以下、水上):「RoomClipにおけるデータでも、理想の家づくりに難しさを感じている、という状況が顕著に現れています。理想を詰め込むと、ただただ面積が圧迫されてしまう、という現実がある。デベロッパーである大成有楽不動産のお二人が感じられていた危機感は、生活者が潜在的に抱えているモヤモヤと完全にリンクしていたんですね。」
須内:「これまで私たちは『間取り』をつくることを大切にしていて、お客様=住まわれる方の立場に立ったものづくりを重視してきました。目標としているのは『戸建ての集合』で、その中から好きな家を選んでもらえるようにしたいと考えています。それが強みでもあると考えていたので、そういう取り組みそのものが縮小してしまうのは避けたい。だからこそ私たちに何ができるのか、もう一度見直そう、という気持ちがありました。」

水上:「マンションの間取りというと『限られた面積でいかに効率よく間取りをつくっていくか』というイメージがありますが、大成有楽不動産さんはそういう方向性ではなかったんですね。RoomClipの投稿を見ていても、規格が統一されたマンションの間取りだと、どうしても世帯構造の多様化にマッチしないという現状も出てきています。」
須内:「実は、同じ間取りをベースにしながらオーダーメイドで自由に変更できるプランも用意していたんですが、意外と変更しないお客様が多いんです。自由ですよ、と言われると逆に『どうしたらいいのか分からない』状態になってしまうのかな、ということを過去の取り組みから感じていました。それで、弊社では最初からいろんな『付加価値』を用意しておく、というやり方を採用しています。」
水上:「そんな『付加価値』を生み出す取り組みが『yohack life』のベースになっているんですね。」
独自の取り組みを可視化していく。「yohack life」が目指すもの
「yohack life」の最大の特長は、大成有楽不動産の住宅事業における横断的なプロジェクトであること。部門やブランドの垣根を越えて、物件ごとの価値ある取り組みを集約していくことにあります。

—— 「yohack life」とは、具体的にどんなプロジェクトなのでしょうか。
篠:「弊社では、分譲マンションや賃貸マンション、それぞれの部門やブランドでたくさんの取り組みを行なってきたのですが、これまではその個別の取り組みが物件の販売期間終了とともに終わってしまっていたんです。そこで、住宅事業一丸となってその取り組みを『yohack life』に集約させていくことになりました。」
須内:「各物件のホームページでも、その物件における独自の取り組みがしっかり伝わるように作り込んでいたんですが、物件の販売が終了するとそれも見えなくなってしまっていたんですね。商品企画という立場からすると、この取り組みがきちんと残せるというところがとてもうれしいんです。」

篠:「最初に、『ゆとりをつくり、豊かさで満たす』というコンセプトをつくりました。『余白』という言葉には『余裕』などの『余』という字がありますよね。それを、スペース、時間、そして心の内面につくっていきたい、という想いを込めて、『yohack life』と名付けました。
『hack』については、『ライフハック』などの言葉にあるような『生活の工夫』をすることで住まいを良くしていこう、という想いがあります。」
水上:「この『yohack life』という言葉を聞いて、RoomClipとリンクする部分を感じました。RoomClipに投稿されているものを細かく分析していくと、まだ言葉になっていない課題感や、生活者視点の工夫が見えてくるんです。」
篠:「皆さんさまざまな工夫をされていますよね。せわしない日々の中で、便利家電を活用したり、いろんなテクニックを駆使したりすることで、生活の『余白』を手に入れようとしている。それが当たり前に組み込まれている家づくりが、いま求められているんじゃないか、と思いました。」
水上:「これから『yohack life』をテーマにした特別な物件がつくられていくわけではなく、すべての物件において『yohack life』の取り組みが生まれていく、ということなんですね。」
須内:「はい。商品企画にはさまざまなフェーズがあるのですが、その中に『この物件ではyohack lifeとしてどんな取り組みをするのか』を報告するフェーズができています。今後、私たちのモノづくりの根底となるプロジェクトになっていくと思います。」
コラボレーションのはじまりは、「生活者の本音」を形にする力
「yohack life」を実現していくには、生活者のリアルな声が欠かせません。大成有楽不動産がパートナーとして選んだのは、日本最大級の住まいと暮らしのSNS「RoomClip」でした。
—— 「yohack life」において、RoomClipと協働することになったきっかけについて教えてください。
須内:「実は私個人として、以前から企画を練る際にRoomClipの投稿写真やタグを参考にしていました。物件のコンセプトにどんなキーワードを入れるかというときに、やはり『お客様の声』を一番大事にしたいという想いがあるんですね。RoomClipには、生活者の生の声、本音があると感じています。」

水上:「例えば、ある場所に棚をDIYしている写真が多いとすれば、それはそこに収納が足りないという痛切なサインです。私たちはそのインサイト(Why)を読み解き、大成さんが具体的な空間(How)に翻訳する。この両輪が揃うことで、今までにない価値が生まれると確信しました。」
須内:「これまでも、商品企画のときにアンケートを取って、実際の商品企画に落とし込んだ事例もあるんです。それでも、RoomClipさんの持つ情報量には全然かなわない。そこが大きな魅力でした。」
水上:「私たちRoomClip住文化研究所にとっては、RoomClipの膨大な写真データを分析してトレンドを出すことはできても、それを社会に還元できない、というもどかしさがありました。だからこそ、大成有楽不動産さんのような確かな『実装力』を持つパートナーを求めていたんです。」
これからのスタンダードへ。動き出した「新しい住まい」のかたち
現在、「yohack life」では具体的な空間の開発が着々と進行中です。「土間収納」や「ランドリールーム」等といったキーワードが、これまでのマンションの常識を塗り替えようとしています。

篠:「最初に、RoomClipの水上さんを中心にワークショップを行いました。参加者全員に、それぞれどんな生活がしたいか、休日はどう過ごしたいかなどを聞き、付箋に書いてボードに貼っていって、じゃあこれを実現するためにはどうしたらいいのか、ということを順序立てて考えていきました。図面を引くとかではなく、率直に思っていることをぶつけあうような形でしたね。」
水上:「そのときに、大成有楽不動産さんのこれまでのプロジェクトや、皆さんの生活者としての趣味の活動などから、さまざまな暮らしのキーワードが出てきました。それらのキーワードを、RoomClipの投稿分析から見えてきた住まいの工夫や、豊かな時間の過ごし方などのテーマに紐付けながら、整理していきました。」

篠:「具体的に出てきたキーワードの調査・分析を改めてRoomClipさんにお願いして、そのキーワード周辺にはどんなニーズがあるのか、どんな課題があるのか、どう実現しているのか、というところをレポートしていただきました。」
水上:「調査してみると、どのキーワードも実際すごくニーズがありそうで、いろいろな使い方が生まれそうだというのが分かったんですね。今回のプロジェクトでは新しいキーワードに則った空間をつくって終わりではなく、どう使われるかというところまでを描いていくというのがすごく特長的だと思いました。」
篠:「例えば『土間収納』ですが、ワークショップの中でアウトドア用品や釣り道具など、外で使うものの置き場に困る、という話が出てきていたんですね。その課題は『土間収納』で解決できるんじゃないか。そんなアイデアを『yohack life』を通じて提案していきたい、という想いがあります。」
水上:「一方で、新しいキーワードをマンションに取り入れていくのはかなり難しいんじゃないか、と思っていたんです。でも実際の物件に取り入れることが決まって、調査して、空間を定義して、それが実際の図面に落とし込まれていくという過程を目の当たりにしたときに、『すごいプロジェクトが始まった』と改めて思いました。」
須内:「正直なところ、家そのものが大きくて、十分な面積と予算があれば何でもできてしまうんですよね。そこをあえて『マンション』で実現する、というのも大きなコンセプトではあります。」

水上:「今回のプロジェクトは、『普通』が変わっていく取り組みだなと感じています。現代のライフスタイルに合わせて、マンションのあり方そのもの、ひいては日本の住まいそのものをアップデートしていく。そんな取り組みのお手伝いができることを、非常にうれしく思いました。」
篠:「働く上でも『こんなスペースが欲しい』『こういう時間が必要だ』などといった『余白』が求められています。『yohack life』は住宅事業部門からスタートしましたが、総合デベロッパーとして、オフィスビルやホテル、物流倉庫などのアセットも合流していけるようなプロジェクトにしていきたいと考えています。」
水上:「住宅という概念から始まって、さらに広がっていくのは面白いですね。RoomClipとしては、生活者が日々シェアする写真やコメントが、実際にマンションという形になって社会に還元される。そんな豊かな住文化を育む循環を、大成有楽不動産さんとともにつくっていきたいです。」


