お香でつくる、10分間の余白。
マッチを擦るようにhibiに火をつけると、10分間だけ、自分のための時間が始まる。細い煙がゆっくりと昇り、香りが部屋の空気に溶けていく。
平日の夜はラベンダーで静かにリラックス、休日の朝はミモザで気持ちを明るく満たす。いつもの生活にゆとりが生まれる。
マッチ箱のように四角い窓が特徴のお店
そんな10分間を届けるお香が、hibi。 兵庫県を拠点とする神戸マッチ株式会社が生み出したこのブランドは、yohack lifeのノベルティとしても届けられている。 蔵前の店舗を訪ね、ストアマネージャーのSさんに話を聞いた。
兵庫のふたつの伝統が出会った場所
淡路島のお香と、播磨のマッチが紡ぐストーリー
神戸マッチ株式会社は、1929年創業のマッチメーカーだ。神戸港に近く、安定した環境が製造に適していたこの地は、マッチ産業の集積地として栄えた。しかし1970年代、100円ライターの登場とともに需要は全盛期の100分の1にまで落ち込んだという。
それでも、マッチへの思いは消えなかった。レトロ柄のマッチを復刻するなど、さまざまな試行錯誤を続けてきた。そして現代表がたどり着いたのが、ひとつの発想の転換だった。
「マッチそのものを残すのではなくて、擦る行為を残そう。お香の先にマッチの頭をつけたらどうだろう」この着想からhibiは生まれた。
hibiのお香はマッチと同じ長さ
パートナーとなったのは、1936年創業の淡路島のお香メーカー・株式会社大発。そしてブランドディレクションとデザインを担うTRUNK DESIGN。
パッケージはもちろん、お香の形状から頭の色にいたるまで、デザインの視点がすべてに貫かれている。この3社が力を合わせ、約3年の試行錯誤を重ねた。 最大の難題は、マッチのように擦っても折れない強度と、最後まで燃え尽きる燃焼性の両立だった。 太くすると折れにくくはなるが、見た目は野暮になる。細くすると折れやすくなってしまう。
hibiの原料のひとつ、和紙
この相反する課題を解決したのが、和紙。通常のお香の原料に和紙の繊維を加えることで、繊細な見た目と折れにくさを両立させた。
2015年、hibiはローンチした。マッチ型のお香という新しい発想は驚かれながらも、少しずつその存在が知られていった。 「おうち時間が充実し始めてから、皆さんの生活に根付いていったなという印象があります」とSさんは振り返る。
「日々」という名前に込めた哲学
ミニマルで日本らしいパッケージが、訪日旅行客にも人気
ブランド名「hibi」は、日本語の「日々」から名付けられた。
「日常に寄り添うブランドとして、日常的に香りを楽しんでいただきたい」——そのシンプルな願いを名前に、「日」という漢字をふたつ合わせたロゴもまた、そのコンセプトをミニマルに体現している。
「日常に10分、自然のアロマを」というコンセプトの「10分」は、意図して設計された数字ではない。マッチと同じ長さのお香を作ったら、燃焼時間がちょうど約10分だったという、偶然の産物がコンセプトになった。
「hibiを通じてマッチに興味を持ってくださることが本当に嬉しい」
この「偶然の10分」が、絶妙なリズムを生んでいる。3分だと短く、長すぎると消し忘れてしまう。切り替えの時間として、日常に無理なく溶け込む長さだとSさんは言う。
Sさん自身、hibiを毎日使っているそうだ。 寝る前の習慣にもなっていて、お気に入りはヒノキとラベンダー。休日の朝はコーヒーと一緒にレモングラスを選ぶ。「思考が冴える感じがして、気分転換にも使っています」。
yohack lifeとの出会い——「ゆとりある10分」のためのノベルティ
蔵前の店舗では全種類の香りが楽しめる
yohack lifeのノベルティにhibiを選んだのは、「日々のゆとりある時間を満たすものは何か」という問いから始まった。 実際に蔵前の店舗を訪れ、何十種類もの香りを試した末に選ばれたのが、ラベンダーとミモザの2種類だ。
ラベンダーとミモザ
yohack lifeのフィロソフィーを手渡されたとき、Sさんはこう感じたという。 「hibi自体がお届けしているものって、香りだけではなくて、そこから生まれる空間だったり、時間だったり、体験だったりすると思っていて、その点がyohack lifeのフィロソフィーと重なると感じました」
そっと日常に寄り添う上品な香り
「ゆとりをつくり、豊かさで満たす」おうちで、もっと、空間や時間のゆとりをつくれたら、ココロのゆとりも広がっていく。それぞれが穏やかで、優しい気持ちでいながら、好きな時間を過ごしていける。そんな、かけがえのない日常へ。自分らしく、ゆとりをつくり、豊かさで満たす。多彩な発想と創造を住まいづくりに、もっと。
hibiのコラボに対する姿勢にもこだわりがある。 「共存共栄の精神を大事にしていて、コラボ先の方と高め合えるような取り組みをしたいという思いがあります」とSさん。
hibiを通じて初めてマッチを擦ったという若い方も多いという
yohack lifeのフィロソフィーと向き合い、ともに届けたい世界観が重なると感じたからこそ、このコラボが生まれた。
選ばれた2種類の香りについて、Sさんに楽しみ方を聞いた。
ラベンダーは「気品のある上品なフローラルな香り。アロマオイルのラベンダーとは異なって、ちょっと落ち着きがある柔らかな香りで、リラックスしたい時や眠りにつきたい時にぴったり」。
ミモザは「優しい甘さを感じる、可愛らしく可憐な香り。太陽の光を感じて気分が高まるような、ご褒美タイムや気分を上げたい時に」。
hibiとyohack lifeのノベルティも、お香とマットがセット
平日忙しく働いて帰宅したあとのオン・オフの切り替えにラベンダーを。休日の朝、今日何しようかと気持ちを前向きに整えたいときにミモザを。 yohack lifeが届けたい暮らしのリズムに寄り添う、2種類の10分間だ。
10分間が生む、日々のゆとり
マッチのように擦るお香
お香立てが不要で、マッチのような小さな形状。hibiはとにかく「始めやすい」設計になっている。
「使う人のことを考えるという点は大切にしてきた。その結果として、始めやすいと言っていただけるようになったのかなと思います」とSさんは言う。
お香は専用マットの上に置いて楽しむ
旅行先の民宿の匂いが気になるからと持参する人もいるという。 Sさん自身も、出張や旅行の際、実家に帰る時にも必ず持っていくそうだ。小さなパッケージは、日常のあらゆる場面に溶け込む。
店舗では、好きな香りを組み合わせて自分専用の1箱が作れる
hibiが日常にある暮らしで、Sさんが感じていることがある。
「hibiで自分を整えるというか、自分自身を取り戻すみたいな感覚があります。意識してじゃないんですけど、あっという間に10分終わっていて、じゃあ寝ようかなみたいになることが多くて」
コンセプトは「香りを楽しむ心を、いつもポケットに入れて」。
音楽が意識せずとも空間に溶け込むように、hibiの香りは日常のバックグラウンドにそっと入り込む。意識しないからこそ、気づいたら自分が整っている。
それは、欠かせない「自分を取り戻す10分間」 なのだ。
日々の空気を、自分で彩る
「hibiの香りで豊かな時間になれば嬉しいです」
「hibi自体が何か大きな変化を生み出せるとは思っていなくて。日常の中に自然にいてくれたら、使ってくれたらいいなぐらいに思っています。その香りを楽しんだことで、使ってくださった方の時間や日常が、ちょっとでもよくなっていたらいいかな」
hibiが届けようとしているのは、劇的な変化ではなく、日常の空気をほんの少し彩る体験だ。
マッチを擦るような動作でhibiに火をつけると、10分間だけ、自分のための時間が始まる。そのたった10分が、日々の余白になる。
【店舗情報】 hibi 10MINUTES AROMA STORE TOKYO 住所:東京都台東区蔵前4丁目4-8 田中ビル 1階 営業日:火〜日12:00〜19:00(月曜定休日・祝日の場合は営業) アクセス:都営地下鉄浅草線 蔵前駅から徒歩約3分/都営地下鉄大江戸線 蔵前駅から徒歩約10分 公式サイト:https://hibi-jp.com/
リサーチノート#01「ハナレ」(ディスプレイ空間)
住まいと暮らしのSNS「RoomClip」の投稿や検索データから生活者の実態を調査しました。リサーチノート1回目のテーマは「ハナレ」(ディスプレイ空間)です。
日々の暮らしに「一人時間」を。趣味を楽しめる独立した収納スペース「ハナレ」の誕生
地価の高騰と建築費の上昇、そして専有面積の縮小が続くマンション市場において、大成有楽不動産が推進する新しい暮らしかた提案プロジェクト「yohack life(ヨハクライフ) 」 。生活者の声から導き出された「余白」というコンセプトをもとに、「空間」と「時間」、そして「ココロ」にゆとりを生み出す住まいづくりに挑戦しています。
今回は、そんな「余白(ヨハク)」を実現するために実装された空間「ハナレ」にフォーカス。住まいと暮らしのSNS「RoomClip 」のデータから見えた生活者のニーズの変化について、そして自分だけの豊かさを満たす、新たな空間づくりの舞台裏に迫ります。
VIDEO
参加者プロフィール
大成有楽不動産株式会社 マンション事業部事業室(第一) 篠 大智
yohack lifeプロジェクト担当者。住宅事業の主に分譲マンションの商品企画・販売・引渡等の事業推進全般を担う。
RoomClip住文化研究所 主任研究員 水上 淳史
「RoomClip(ルームクリップ)」のデータをもとに住まいと暮らしの変化を研究。リアルな生活者の動向を伝える。
家族それぞれが持ちたい「一人時間」と、多様化する趣味のゆくえ
日々の暮らしをより豊かにするために必要なものとは何か。コロナ禍を経て、人々の住まいへの関心は大きく変化しています。大成有楽不動産は、マンションのメインの居住空間から内廊下を隔てた約3畳の専有部として「ハナレ」を実装しました。
—— 「ハナレ」を企画されたきっかけについて教えてください。
RoomClip住文化研究所・水上(以下、水上): 「RoomClipの投稿や検索傾向を見ても、日々の暮らしの中で趣味や余暇時間の使い方への関心はとても高まっています。実際にデータを見ても、1日の中で余暇や趣味に費やす自由時間は10年スパンで徐々に増えているんです。とりわけ2020年のコロナ禍以降は、誰かと一緒に過ごす時間よりも、一人で過ごす『一人時間』をいかに充実させていくか、という住生活での取り組みにますます注目が集まっています。」
大成有楽不動産・篠(以下、篠): 「そうした背景もあり、マンションのどこかに個人の趣味や一人時間を充実させることのできる収納スペースがつくれないか、と考えました。そんな想いから生まれたのが『ハナレ』です。マンションの収納というと、クローゼットや下足入れなど、ただモノをしまうだけの狭いシステム収納になりがちです。そこで、思いきり趣味を楽しめる独立した空間がつくれないかと考えました。」
水上: 「趣味に熱中していくと、関連する道具やコレクションなど、さまざまなものが家庭の中で増えていきますよね。最近は『推し活』のようなキーワードもトレンドです。日用品以外の趣味の対象をどうしまっていくのか。また、集めたアイテムを美しく並べて見せる『ディスプレイ』というキーワードも、この5年ほどでさらに注目が高まっていると感じます。」
篠: 「ディスプレイスペースと居住空間がひと続きになっていると、お子様が色々と物を触ってしまう心配があります。そのため、今回はメインの部屋から内廊下を挟んでしっかり分けられた、独立した空間を企画しました。」
しまいきれない、あふれるコレクション。リアルな生活者の悩み
生活空間を圧迫しないために、自分が好きで集めたものを箱に詰めて、クローゼットの奥にしまいこんでいる、という方も多いのではないでしょうか。「ハナレ」は、そんな悩みを解決してくれるスペースです。
—— ご自身でも、集めているコレクションの収納に悩まれた経験はありますか?
篠: 「私自身、旅先で見つけたご当地ものや季節ごとに発売される『タンブラー』をつい買ってしまって、どんどん増えていくんです。見た目はおしゃれなんですが、全部表に出しておくとカオスな状態になってしまいます。表に出しておきたいけれど、しまわないと大変なことになってしまう、というバランスの難しさを感じています。」
水上: 「食器棚に収まらずに、どんどんはみ出していくんですよね。」
篠: 「はい。プロジェクトのワーキングメンバーからも『コレクション』の写真を募ったんですが、お気に入りの食器や大切なペットの写真を普段から見て楽しみたい、来客時に見てもらいたいという方がいました。」
水上: 「ただ『物をしまう』のとは違う、完全に『見せる』ことを意識したディスプレイへの欲求を感じますね。」
篠: 「 私の実家の母は室内でも育てられる多肉植物を葉挿しでどんどん増やして愛でているのですが、母に『ハナレがあったら何を置く?』と聞いたら『多肉植物一択』という答えが返ってきました。」
水上: 「私自身も植物にハマった時期があったんですが、育てるほど増えるので困りますよね。システム収納の中で植物を育てるのは当然無理ですし。私の場合は生きている植物からシフトして、木の実やドライフラワー、動物や虫のオブジェなどを収集するようになりました。関心が広がるにつれて飾る場所がなくなって、壁面がどんどんディスプレイスペースになり、もはや白い壁がなくなってきています(笑)。」
篠: 「床の面積は増やせないので、本当に壁に行くしかないんですよね。」
壁一面がショーケースに。「見せる」を楽しむ約3畳の独立空間
リアルな生活者の悩みを解決し、「収納する」だけでなく「見せる」「飾る」などを叶えてくれる空間としての「ハナレ」。分譲マンションではこれまでに存在しなかった空間を、どのように実現していったのでしょうか。
篠: 「今回、『オーベルアーバンツ東武練馬』という物件で初めて『ハナレ』を採用しました。メインの住宅はすべて南を向いており、内廊下を挟んだ向かい側に約3畳の独立した専有部として『ハナレ』を設けています。」
水上: 「『ハナレ』というキーワードが出た当初は、正直『マンションの中で本当にそんなことができるのかな?』と思いましたが、実際に採用されていて驚きました。」
篠: 「最初はただ箱のような収納空間を作ってモノを並べる想定だったんです。しかしRoomClipさんとのお話を通じて、ディスプレイスペースとしての発想が広がりました。約3畳という床の広さは変えられないので、壁を使うしかない。そこで、壁一面を展示できる仕様をゼロから考えました。」
水上: 「壁一面をショーケースのようにつくられていますね。」
篠: 「はい。スニーカーをたくさん並べたり、観葉植物を愛でたりできる空間をイメージしました。左の壁にはデスクや棚板を標準で採用しています。標準の棚板の数は決まっていますが、もっと並べたい方にはオプションで追加し、好きなようにカスタマイズしていただける準備も整えています。 また、植物などを育てる際に温度が下がりすぎないよう、一定の温度環境を保てるルームエアコンを標準設置しました。」
水上: 「いろんな箇所を自分でカスタマイズできるんですね。」
篠: 「天井にはライティングレールも標準で設けており、後からスポットライトを自由に追加して、お気に入りの植栽を照らすこともできます。さらに、充電などを考慮して2口コンセントを部屋の3箇所に設置し、充実させています。大事なモノを置くスペースとしてご活用いただけるよう、窓側(北側)と玄関側の計2箇所に防犯センサーを設置し、防犯面にもしっかり配慮しています。」
しまっていたモノを表に出し、心の「余白」を豊かさで満たす
単なる収納部屋ではなく、住まい手の心を満たす「余白」となる空間として生まれた「ハナレ」。この空間があることで、日々の暮らしにはどう変化していくのでしょうか。
篠: 「ヨハクライフは『ゆとりをつくり、豊かさで満たす。』というコンセプトで間取りや設えを考えています。マンションに住まわれる方で、これまで表に出して見ていたいものをしまい込んでいた方もいらっしゃったと思うんです。今回、約3畳の物理的なスペースとして『ハナレ』を生み出したことで、表に出せなかったモノを思いきり出していただけるようにしました。そうすることで、自分の豊かさが今まで以上に広がれば、と思っています。」
水上: 「マンションに『ハナレ』があるということ自体が、今までにない生活の想像を掻き立てる面があると思います。」
篠: 「すでに多くの反響をいただいており、SNS等でも『この物件にはハナレがあるんだ』という珍しさに興味を持ってくださる方がとても多い印象です。」
—— 今後の展開や展望についてお聞かせください。
篠: 「まずはご入居される皆さんが、このハナレをどのように使うのか、いろいろ聞いてみたいですね。何を置いているのか、できれば写真も撮っていただいて、RoomClipユーザーさんが投稿しているようなかたちで集められたら嬉しいです。そうした声をもとにさらに改善し、今後の『ヨハクライフ』の取り組みに繋げていきたいと考えています。」
水上: 「実際に、私たちが想像もつかないような使い方をされる可能性もすごくある空間だと思いますし、今後の展開がますます楽しみですね。」
生活者の想いに寄り添い、住まいのなかに新しい価値を生み出す大成有楽不動産の挑戦。「こんなふうに暮らしたい」という理想を叶え、住まいにも気持ちにも「余白」をつくりだす「yohack life」の取り組みに、ぜひご注目ください。
家事の「分散」と収納の「迷子」をなくす。マンションで叶える、新しいカタチの暮らしかた
地価の高騰と建築費の上昇、そして専有面積の縮小が続くマンション市場において、大成有楽不動産が推進する新しい暮らしかた提案プロジェクト「yohack life(ヨハクライフ) 」 。生活者の声から導き出された「余白」というコンセプトをもとに、「空間」と「時間」、そして「ココロ」にゆとりを生み出す住まいづくりに挑戦しています。
今回は、そんな「余白(ヨハク)」を実現するために実装された2つの空間、「ランドリールーム」と「土間収納」にフォーカス。住まいと暮らしのSNS「RoomClip 」のデータから見えた生活者のリアルな課題を、マンションという限られた空間にどのように落とし込んだのか。プロジェクトに携わるメンバーに、企画の背景や実現への想いを伺いました。
VIDEO
参加者プロフィール
大成有楽不動産株式会社 マンション事業部事業室(第一) 篠 大智
yohack lifeプロジェクト担当者。住宅事業の主に分譲マンションの商品企画・販売・引渡等の事業推進全般を担う。
RoomClip住文化研究所 主任研究員 水上 淳史
「RoomClip(ルームクリップ)」のデータをもとに住まいと暮らしの変化を研究。リアルな生活者の動向を伝える。
部屋干しの悩みと煩雑な動線を解決。洗濯家事を一つの場所に集約する「ランドリールーム」
共働き世帯の増加など、現代のライフスタイルにおいて「家事の負担軽減」は大きなテーマです。限られた専有面積のマンションにおいて、大成有楽不動産はあえて独立した「ランドリールーム」の設置に踏み切りました。
—— 「ランドリールーム」を企画されたきっかけについて教えてください。
大成有楽不動産・篠(以下、篠): 「家事は『しない』というわけにはいきませんが、もう少し省スペース化、省時間化を図れたら、家族の時間や自分の時間をうまく生み出せるのではないか、と考えたのが始まりです。まず、皆さんがどのように洗濯をしているのかプロセスを整理してみたところ、『洗う』『干す』『たたむ』『しまう』という4つの工程が、家の中でバラバラの場所で行われていることがわかりました。これがスペースや時間を余計に取ってしまっている原因だと気づいたんです。」
RoomClip住文化研究所・水上(以下、水上): 「共働き世帯や単身世帯は日中働いているため、夜に洗濯をする方が多いというデータがあります。そのため『部屋干し』が前提となるのですが、従来の間取りには洗濯物の室内干し専用スペースがないため、リビングの掃き出し窓のカーテンレールなどに干すケースが非常によく見られます。」
篠: 「そこで、その4つの工程を一つの場所、つまり『ランドリールーム』に集約したいと考えました。実現のポイントとして、まず乾燥機を標準設置し、その下に引き出しを設置してたたむ作業ができるスペースを設けました。たたんだものは、乾燥機下の収納やハンガーパイプ付きのトール収納にそのまましまえるので、時間の節約になります。取り込んだ洗濯物がリビングのソファに山積みになる、という事態を未然に防ぐことができるんです。」
水上: 「お子さんがいるご家庭だと1日に何回も洗濯機を回すことがあると思うんですが、洗濯機のある場所から干す場所まで、重い洗濯物を何度も運ぶというだけで重労働です。洗濯のプロセスが家の中に分散してしまっていることが大変さのポイントの一つだったので、それが一つの空間に集約されることで、無理のない洗濯家事が実現できる、ということですね。」
篠: 「私自身、これを注文住宅ではなくマンションで実現したいという気持ちをかなり前から持っていました。マンションの工事費が高騰し専有面積が小さくなりがちななかで、あえて家事のスペースを取り、居住空間と家族・自分時間の両方を生み出せる、画期的な取り組みだと思っています。」
多様化する持ち物を受け止め、衛生的な暮らしを守る「土間収納」
もう一つの画期的な提案が、玄関からひと続きになった「土間収納」です。マンションの間取りではなかなか実現できなかった「半分屋外、半分屋内」のスペースにも、リアルな生活者の悩みを解決するための工夫が詰まっています。
—— 「土間収納」はどのような背景から生まれたのでしょうか。
篠: 「私自身の経験でもあるのですが、子どものベビーカーやランニングバイクの収納に困っていたのがきっかけです。ベビーカーはなんとか下足入れに入るのですが、自転車をバルコニーに持っていくのが大変なんです。タイヤについた土や泥が家の中に落ちて、家を汚してしまうんですよね。玄関スペースだけではどうしても解決できない、という実体験がありました。」
水上: 「昔に比べて、皆さんの持ち物の幅が広がっていますよね。ベビーカーやキックボードのような外遊びのおもちゃ、キャンプや釣り、ゴルフといったアウトドア系の趣味の道具などが増えている一方で、『花粉や汚れなどを室内に持ち込みたくない』というニーズも高まっています。そのため、そういったモノを専用で置く場所を確保したいという声が非常に多く見られます。」
篠: 「そこで、下足のまま入れる『土間収納』を企画しました。置くモノが多様化しているため、フレキシブルに可動できる棚を採用し、棚板を動かせばスーツケースやクリスマスツリーなどの季節物も柔軟に収納できます。また、雨の日に自転車に乗って帰ってきた際、濡れた雨具や傘を一時的に干せるスペースも設けています。廊下に水滴が滴り落ちるのを防ぎ、汚れ物や濡れたモノを土間で止めることで、部屋の中に持ち込まずに衛生的に保つことができます。」
水上: 「フレキシブルなつくりになっているので、ライフステージが進んでお子さんの遊び道具などがいらなくなったり、趣味のものが増えたりしても、余裕を持って収納できる空間になっていますね。」
モノの「指定席」が日々のストレスを減らし、心に「余白」を生み出す
洗濯家事を集約する「ランドリールーム」と、室内に収まらないものを収納できる「土間収納」。一見すると機能的な設備ですが、これらが「yohack life」の考える「余白」にどうつながっていくのでしょうか。
—— 「ランドリールーム」と「土間収納」は、暮らしにどのような「余白」をもたらすのでしょうか。
篠: 「どちらも『ゆとりをつくり、豊かさで満たす。』という、『yohack life』のコンセプトから生まれた取り組みですが、『ランドリールーム』は、家の中で散らばって時間をかけていた家事を一つの場所に集約することで、家事の時短と空間のゆとりを実現します。一方の『土間収納』は、普通のマンションだとどこにしまったらいいか迷いがちなモノの『指定席』を決めてあげることができます。日々の悩みやストレスから解放され、最終的には『心のゆとり』を生み出すことができると考えています。」
水上: 「普通に暮らして、部屋を整えていたいと思っているのに、いつもソファや廊下にモノが置いてあってなかなか片付かない、という状況が多くのご家庭で起きています。そんななか、本来片付いていてほしかったモノを収納できる場所は、暮らしのゆとりをつくっていく上で非常に重要な空間になると思います。」
篠: 「子どもの外遊びの道具や自転車などは、これまでは『床につかないようにバルコニーに持っていく』ために大人しか片付けられなかったわけですが、『土間収納』があることで、子ども自身に『自転車はここ、遊び道具はここ』と自分で片付ける習慣をつけてもらうことができます。そういった子育ての面でも、ライフスタイルが上向いていくのではと感じています。」
リアルな声を次のカタチに。「yohack life」が描く今後の展望
生活者の声から生まれ、マンションという空間に実装された新しい住まいのカタチ。これまでになかった空間と機能から生み出される「ヨハク」は、日々の暮らしにどんな変化をもたらすのでしょうか。
—— 今後の展開や展望についてお聞かせください。
篠: 「今回実装したこの2つの取り組みについて、マンションを購入・契約された方が率直にどう思われるのかが率直に気になっています。マンションのお引き渡しはまだ先になりますが、実際にお住まいになられて使ってみて良かったのか悪かったのか、お客様のリアルな声をお聞きしたいです。その声を踏まえた上で、次の商品企画に活かし、『yohack life』に反映させていきたいと考えています。」
生活者のリアルな課題に寄り添い、住まいのなかに新しい価値を生み出す大成有楽不動産の挑戦。日々の家事や収納のストレスから解放された先にある、心豊かな暮らしの実現へ。「yohack life」の歩みは、これからも続いていきます。
逗子の自家焙煎コーヒーが教えてくれた、朝のゆとりのつくり方。
JR逗子駅から徒歩8分、線路沿いの一本道を歩いて行くとその店はある。 引き戸を開けると、焙煎機の低いうなりと、香ばしいコーヒーのアロマが迎えてくれる。 カウンターには10種類以上の生豆がずらりと並び、それぞれに手書きのキャプション。ここは慌ただしい日常から、少しだけ離れた場所——。
カウンターにずらりと並ぶ選りすぐりの生豆
522coffee roasterYのオーナー、村澤さんが焙煎した豆は、yohack lifeのノベルティとして届けられる一杯でもある。 なぜこのコーヒーなのか。なぜこの場所なのか。 村澤さんの話を聞いていると、一杯のコーヒーに込められた想いが、少しずつほどけるようにわかってきた。
香りが夢の始まりだった、そして逗子へ
生豆の瓶には手書きの説明が添えられている
会社員時代、上司の紹介で訪れた都内のコーヒー焙煎店がすべての始まりだった。店頭に並ぶのは焙煎前の生豆——緑がかった白い豆を、その場で注文を受けて焙煎してくれる。
「コーヒーは好きだったけど、今まで生豆を見たことがなかったんです。茶色い豆しか知らなかったから、もうなんなんだっていうぐらい衝撃でした」と村澤さんは振り返る。
その帰りの電車の中で、焙煎したての豆の香りがずっと寄り添ってきたという。
「コーヒーの香りって、人の気持ちをほどかせてくれるというか、なんか、優しくなれるんですよね」
その瞬間に、「いつかこんな焙煎店をやりたい」という思いが芽生えた。以来10年以上、その夢を心の中に持ち続けてきた。
夢が現実に動き出したのは、思いがけないきっかけだった。 ともに店を開こうと話していた娘さんを亡くし、村澤さんは「自分がどこに行ったらいいかわからなくなった」という。娘さんが生前「一緒に見に行こう」と誘ってくれていたのは逗子・山の根。
焙煎した豆から焦げたり形の悪い豆を取り除くことで、雑味がなくなる
ある日、息子さんの車で茅ヶ崎のコーヒー店に向かう途中、スマートフォンで何気なく不動産情報を見ていたら、山の根の物件が目に入った。
「すぐ電話して、見に行くことにしたんです。娘が『山の根』って言ってたその場所だったから」
開店に対してあまり乗り気でなかった息子さんも、賃貸契約書を見て、肘でそっと村澤さんをつついた。住所の番地が3丁目の “5-22” だった。
店の前の看板にも村澤さんの手書きの文字が並ぶ
なんと、いくつもの店名候補の中からようやく決まった “522” と一致した。——4、5年前に自分でメモしていた “522コーヒーロースター” 。
愛犬の名前 “コツブ” をそのまま数字にした、電車の中でふと思い浮かんだ言葉だ。
「2人で鳥肌が立っちゃった」と、スマホに保存していた手書きの店名を見せてくれた
立地は駅前でも商店街でもない住宅街。家族をはじめ多くの人に反対されたが、村澤さんは迷わなかった。 実際に物件を見た息子さんもすっかり気に入り、家族も村澤さんの揺るぎない熱意を前に、応援することを決めたという。
「高い豆を特別な時だけ飲むんじゃなくて、毎日美味しいコーヒーを手軽に飲んでもらいたい。だから地域の方が来てくださるここがいいと思ったんです」。
みんなで作り上げた当時の様子を写したフォトアルバム
店づくりも “みんなでつくる” ことを大切にした。
壁の塗装や板張りなど、娘さんのお友達をはじめ大勢の仲間が集まってくれた。 一人ひとりが手を動かして仕上げたこの空間には、そうした人たちの想いが込められている。
そして2024年5月、522coffee roasterYはオープンした。
ベンチに座ってコーヒーを飲む姿も画になりそうなお店
yohack lifeとの出会い——「ゆとりのある朝の一杯」を作る
yohack life × 522coffee roasterYのノベルティ
オリジナルブレンド制作のプロセス
yohack lifeのノベルティとしてのオリジナルブレンドは、 “ゆとりのある朝の一杯” というコンセプトから生まれた。
「存在感があって、だけどちょっと優しくて、その中でやっぱりちょっと元気が出るっていうような感じ」。村澤さんが選んだのが、インドネシア・トラジャとパプアニューギニアの組み合わせだ。
焙煎機が動くと香ばしいコーヒーのアロマに店内が包まれる
トラジャはインドネシア・トラジャ地方で採れる希少な豆。かつて “幻のコーヒー” とも呼ばれた。苦味と重厚感、飲んだ時のインパクトがある。
「ちょっとピリッと刺激を受けて、やる気が出る感じがいいんじゃないかと思って」。
一方のパプアニューギニアは、爽やかな酸味とマイルドな口当たりが朝のコーヒーにぴったりだという。
ただ、同じ焙煎度で仕上げてしまうと、パプアニューギニアの爽やかな酸味が消えてしまう。トラジャを浅くすると今度は苦味が出なくなる。
焙煎したばかりのコーヒー豆
「だから後から焙煎を違う度合いでやって、後から混ぜたらどうなるんだろうって」。深煎りのトラジャと中煎りのパプアニューギニアをそれぞれ仕上げてからブレンドし、二つの個性を両立させた。
このブレンドを一言で表すとしたら?の問いに、村澤さんはしばらく考えてから言った。
「ホッとした気持ちの次に、何かをしてみたくなるようなコーヒー」
「アンチエイジングに良いらしいのよ」と朝の浅煎りコーヒーを薦めてくれる
「気持ちが落ち着かないと、次に何かをしようという気持ちって起きないと思うんですよね。だから、ホッとできて、散歩に出た時にちっちゃいことでも何かを見つけられるような1日になったら嬉しいなって」
スッキリとしていてどこか優しい『yohack life』オリジナルブレンド
コラボのきっかけ——家族のご縁から生まれた一杯
村澤さんが大成有楽不動産社員のご家族(義理のお母様)というご縁から生まれた、今回のコラボ。
社員が実際に店を訪れ、yohack lifeのフィロソフィーを村澤さんに伝えたとき、その言葉は深く響いた。
yohack life フィロソフィー おうちで、もっと、空間や時間のゆとりをつくれたら、ココロのゆとりも広がっていく。それぞれが穏やかで、優しい気持ちでいながら、好きな時間を過ごしていける。そんな、かけがえのない日常へ。自分らしく、ゆとりをつくり、豊かさで満たす。多彩な発想と創造を住まいづくりに、もっと。
「ゆとりとか豊かさというのは、今の時代、やっぱりお金だけじゃなくて、人と人とのつながりなんじゃないかなって感じます」と村澤さんは言う。
店内には、コーヒー豆の袋をアップサイクルした商品も並ぶ
コーヒーを通じて人が集い、その場で縁がつながっていく——自分の店で日々感じていることと、yohack lifeのフィロソフィーが重なった。
だからこそ、既存のブレンドから選ぶのではなく、オリジナルのブレンドを作ることを提案してくれた。フィロソフィーを受け取り、何十種類もの豆から厳選された一杯は、縁と共鳴から生まれた必然の味だった。
522coffee roasterY がつなぐ縁
ふらっと覗きたくなる大きな窓の入り口
「お客さんたちが店内で座って焙煎をお待ちになるんです。そうすると、どちらからいらっしゃったんですかって自然に話が始まって」
522が不思議な縁を引き寄せる。顔も知らなかったご近所さん同士が、ここで初めて出会い、今では一緒にホームパーティーをするほどの仲になった。
コロナ禍で3年間会えなかった旧友同士が、偶然この店で再会した。 店内に置かれた地域のエッセイ集を手に取った方が、旧知の著者との思わぬ縁に声を上げた。
コーヒーを待つ15〜20分の焙煎時間が、自然と会話を生み、人と人をつなぐ。
いつも粉で注文するお客さんが、いつの間にかミルを買っていることもしばしば
子どもたちもやってくる。
「エクアドルをください」と一人でお使いに来る小学生。522coffee roasterYでコーヒーデビューし、「フルーティーでとても美味しかったです」と言う、微笑ましい中学生。
学校帰りに顔を見せてくれる子どもたちに声をかけるのも、日課になっている。 「防犯というわけじゃないんですけど、顔を出して元気に帰っていくんです。こっちもすごく元気になる」と村澤さん。
村澤さんとの楽しいおしゃべりが目的で来られるお客様もいらっしゃる
何もない住宅街の路地に、人が自然と立ち止まる。
夏の暑い日には、駅まで歩くお年寄りの中継地点にもなるそうだ。そうした積み重ねが、いつのまにか地域の “ホッとできる場所” になっていった。
みんなに開かれた焙煎所
村澤さんはこのお店を、“娘が、私が一人にならないように作ってくれた場所” だと言う。娘さんの友人たちと一緒に店をつくり、その縁がさらに広がり、誰かとつながり続けている。
「娘がみんなを紐づけてくれているというか、繋いでいってくれているような気がします」。
一杯のコーヒーが生む、朝のゆとり
夜コーヒーを飲んでもぐっすり眠れるという無類のコーヒー好きだという
「コーヒーを飲むと、とりあえず機嫌がいい。香りを嗅ぐと、ホッとする。それがあると、なんか、ちょっと優しくなれる気がします」と村澤さんは笑う。
yohack lifeのノベルティとして届けられるこの一杯は、「存在感があって、でも優しくて、飲んだ後に何かをしてみたくなる」コーヒーだ。
村澤さんにとってのコーヒーはyohack lifeそのもの
特別な時間のためではなく、毎日の朝のために。ゆとりは、一杯のコーヒーから始まる。
【店舗情報】 522coffee roasterY 住所:神奈川県逗子市山の根3-5-22 営業日:金・土・日・月 12:00〜17:00 アクセス:JR逗子駅から徒歩約8分